秋の初河谷から芦倉山② |
2018年10月13日(土)14日(日)
奥美濃・初河谷~芦倉山
そばつる Tsutomu
10月14日(日)
予定通り4時半に起きだし、それぞれのツェルトで食事を摂って6時半前に出発。今日もよい天気が期待できそうだ。
芦倉山へ向かう右俣は細い滑が続く。2~3mの滝が現われるが問題ない。振り返れば初河山の稜線が朝陽に照らされていた。
ゴーロになってわずかで左岸に明瞭な沢筋が見えた。標高は1400m辺り。芦倉山に直登する沢かと思われたがやや伸びる方向が違う。
先を探ってみようと進むと左に屈曲した地点に涸れ沢が落ちていた。これか、と思ったが、木々が覆い被さっており足を踏み込む気が起こらず先ほどの明瞭な沢を登る事にした。
踏み込んだ沢はすぐに水流が弱くなり水の補給をする。先に進むと6mの滑滝が現われた。つるっとしていて取りつく島もない。左手のズルズル泥斜面をトラバース。垂れ下がった灌木が頼りだ。
その後、2~3mの滝が幾つか現われたが何れも無難に突破。高度を上げると沢の方向が右に傾いた。ここに至ってこの沢が直登沢でない事がはっきりとした。1480mで二俣になり4m滝のかかる左俣へ進んだ。
岩床の沢筋が続き歩きやすい。このまま山頂まで続いてくれないか、という願いも虚しく沢は途切れ笹薮に突入。笹は細く歩きにくさはない。
立派なブナが立つ下でフェルト底からスパイク底の足袋へ履き替えた。ブナの枝越しに銚子ケ峰から別山へと続くラインが見えた。今春の吹雪の中の山行が思い起こされた。
笹とブナの斜面を登ってわずかで芦倉山西側稜線に出た。パッと開けた視界に飛び込んできた景色に息をのむ。
石徹白の集落を中心に取り囲む峰々。野伏ケ岳、小白山、毘沙門岳…。その外側には奥越から奥美濃の山並み。遠く、伊吹山の姿もはっきりと確認できた。稜線南斜面は雪崩の多発地帯で樹木が付かず、それが為の好展望であろう。
また、何時も雪庇に覆われている稜線上は笹も育ちにくいのか腰高の細いものばかりで歩きやすい。青空に向けて爽快な気分で歩を進める。
山頂台地では笹の背丈は高くなったものの歩きにくさはない。三角点のある東側へ移動し足下を注意していると「あった!」とそばつるからコールがあがった。
三等三角点「芦倉」は折り重なる笹にまるで隠れているようだ。このままそっとしておきたいところだが三角点踏査では標石を明瞭な状態で撮影する事が求められている。そばつると二人、周りの笹を刈り広げ標柱を少し掘り起こした。なんだが下品な作業だが致し方ない。
三角点からは大日ケ岳から連なる稜線がひとつの山塊のように見えた。御嶽山、乗鞍岳といった高山は残念ながら雲に隠れて裾のあたりをぼんやり見せているだけだった。
撮影を終えて腰をおろし背にした笹を押し倒して寝転べば視界一杯に澄んだ秋空が広がった。そこを白い雲が流れていく。とてもヤブ山の山頂にいるとは思えない清々しい気分に満たされた。
下山は登ってきた西尾根を下っていく。1600mあたりまでは、すばらしい眺望の気分のいい下降となった。
それ以降は徐々に灌木や横に這う木々が多くなり体力を奪っていく。巾広の尾根では台風で倒されたであろう倒木も現われた。
標高1464mから1300mの細い吊り尾根へは、地形図、コンパス、高度計、勘を駆使してピンポイントで下りる事ができた。ここまでくれば後は問題ないだろう、と思ったのも束の間、ここからしばらくの薮越えが大変だった。
1330mのピークに出るとそこから右手側は杉の植林帯となった。しかし、手入れのされていないため薮がひどい。横に這う様な樹木さえないものの所々で笹薮や灌木が進行を邪魔する。
緩やかな稜線上にはブナの大木が程よい間隔で立っている。尾根を示す目印に残されたものだろうか。これが進行方向を見失いがちな時に役に立った。
1200mからは西北西の植林尾根を急下降し林道に出た。この林道を歩いて1017mピーク東側を通る林道に入り、南側の鞍部に出たところで西側斜面を下降。
下りながら右手、右手へと進路を取って尾根を三つ程越えるとピンクテープの目印があり辿ると八反滝の遊歩道へ出た。最後は昨日、期待していた通りになったがこのピンクテープは何の為だったのだろうか。
下降が厳しいヤブコギになったが、概ね山に迎えられたかのようなすばらしい山行となった。ここ数年、晴れ男に変わったそばつるのおかげで天候に恵まれたのも幸いだった。山の神とこの山行に同行してくれたそばつるに感謝!!
後ろ姿だがモデルが良いのか?
三角点周りの切開きがあるうちに
訪れてみたいものです。
ピンクテープは今でも昔の禅定道を辿る方の目印だと思われます。
禅定道、もう少し辿ってみたかったです。